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ホーム お役立ちコラム サーキュラーエコノミーとは?定義やリサイクルとの違い、日本企業の取り組み事例をご紹介!

公開日:2023.11.17

サーキュラーエコノミーとは?定義やリサイクルとの違い、日本企業の取り組み事例をご紹介!

  • #環境貢献・SDGsに取り組みたい

サーキュラーエコノミーは、従来の経済システムに代わる取り組みとして進められている新しい経済概念の1つです。そこで本記事では、サーキュラーエコノミーの概念や定義から注目を集めている理由、日本企業の取り組み事例まで詳しくご紹介します。

サーキュラーエコノミーとは?

サーキュラーエコノミーとは、循環経済や循環型経済を指す用語です。資源の投入量と消費量を抑え、既存の資源を活用して新たな付加価値を生み出す経済活動といえます。サーキュラーエコノミーについて理解を深めるには、以下の3点をチェックしておきましょう。

  • サーキュラーエコノミーの定義
  • サーキュラーエコノミーの3原則
  • リサイクルとの違い

サーキュラーエコノミーの定義

サーキュラーエコノミーの定義は、管轄している省庁ごとに違いがあります。

経済産業省の定義

経済産業省では、経済的な面にフォーカスした定義づけがされているといえます。

「循環経済とは、あらゆる段階で資源の効率的・循環的な利用を図りつつ、付加価値の最大化を図る経済。」

引用:循環経済ビジョン2020(概要)|経済産業省
環境省の定義

環境省の定義では、消費の最小化や廃棄物抑制についても触れられています。

「循環経済(サーキュラーエコノミー)とは、従来の3Rの取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すもの。」

引用:令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書(PDF版)|環境省

このように省庁ごとにサーキュラーエコノミーの定義には違いがあります。

サーキュラーエコノミーの3原則

サーキュラーエコノミーへの移行をビジョンとした組織「エレン・マッカーサー財団」によると、サーキュラーエコノミーの3原則には、以下が挙げられています。

Eliminate
(排除する)

Eliminate waste and pollution
廃棄や汚染を取り除くことを設計段階から取り入れることによって、資源の循環を目指す

Circulate
(循環する)

Circulate products and materials at their highest value
製品および原材料を利用可能な状態のまま循環させることによって、新たな製品を生産できるようにする

Regenerate
(再生する)

Regenerate nature
製品として使用されたあとにもゴミにならないように工夫し、資源フローの収支を合わせることによって、自然資本の保存・増加を目指す

参考:What is a circular economy? | Ellen MacArthur Foundation

リサイクルとの違い

サーキュラーエコノミーとリサイクルの違いは、以下の通りです。

サーキュラーエコノミーリサイクル
経済システム廃棄物に対するソリューション

リサイクルは、製品の廃棄物を再利用することを指し「3R(Reduce・Reuse・Recycle」の考え方から成立しています。一方、サーキュラーエコノミーは廃棄物が発生しないように設計し、ゴミそのものが出ないようにすることが前提です。

サーキュラーエコノミーが注目される3つの理由

サーキュラーエコノミーが注目される理由には、以下の3つが挙げられます。ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

  • 1.資源コストの抑制につながる
  • 2.SDGsやサステナブル社会実現の有効な手段となる
  • 3.新規事業やイノベーションの創出につながる

1.資源コストの抑制につながる

製品や原料から廃棄物が出ないサーキュラーエコノミーは、新たな資源の投入量を最小限に抑えることができます。さらに、投入した資源を無駄なく使い切ることが可能なビジネスモデルです。
そのため、環境負荷を抑えながら資源・投資コストの抑制にもつながります。限りある地球の資源を最大限効率化するための考え方といえます。

2.SDGsやサステナブル社会実現の有効な手段となる

現在、国や企業は国連が掲げているSDGsへの取り組みを強化しています。サーキュラーエコノミーは、SDGsのゴール目標を達成するために有効な手段の1つです。17ある目標の中でも特に以下のものと親和性が高いといえます。

「産業と技術革新の基盤をつくろう」
「つくる責任、つかう責任」

さらに、サーキュラーエコノミーはひとつの企業だけで取り組むことが難しいため、「パートナーシップで目標を達成しよう」についても、大きく関連します。
なお、具体例から学ぶSDGsへの企業の取り組みや事例、取り組む際のポイントを次のページで解説していますので、こちらも参考にしてみてください。

具体例から学ぶ!SDGsへの企業の取り組みや事例、取り組む際のポイントを解説!

3.新規事業やイノベーションの創出につながる

これまでのビジネスモデルは「製品を売り切る」ことから考え出されてきました。しかし、サーキュラーエコノミーの視点をもつと、シェアやレンタルなどのような、新たなビジネスモデルへと昇華できます。
ほかにも、サーキュラーエコノミーの考え方を軸とした新規事業やイノベーションを構築する下地にもなり得るため、新たな収益源となる可能性をもたらします。

企業がサーキュラー・エコノミーを構築する際のポイントは4つ

企業がサーキュラー・エコノミーを構築する際のポイントには、以下の4つが挙げられます。ここではポイントごとの詳しい内容を解説します。

  • 1.利用者から製品を回収する流れをつくる
  • 2.再利用して循環させる視点を持つ
  • 3.他社との協業を前提とする
  • 4.取り組みや効果を社内外に発信する

1.利用者から製品を回収する流れをつくる

製品に使用した素材などを循環させて改めて使用するには、消費者が購入した製品を回収する流れを構築しなければなりません。
サーキュラーエコノミーは、一度利用者が手にした製品を回収することによって、再び原料へ戻すことやリユースするための工程が必要です。製品の設計段階から無駄が発生しないように考えなければならないことが、旧来のビジネスモデルと大きく異なります。

2.再利用して循環させる視点を持つ

サーキュラーエコノミーの原則の1つに「廃棄を前提としないこと」が掲げられています。そのため、環境に配慮した素材を取り入れるだけでは成立しません。
製品を原料選定から製造過程まで全て、再利用して循環させる視点から検討していくことが重要です。このことによって自然資本を維持・増加を達成できるようになります。

3.他社との協業を前提とする

サーキュラーエコノミーは、単独の企業だけではなく、地域や国、地球全体を巻き込んだ経済モデルです。そのため、素材を作る企業からメーカー、購入者、回収リサイクルする企業まであらゆるステークホルダーが密接につながることで成立します。
そのため、1つの企業が自社の中だけで構築することは非常に困難です。つまり、サーキュラーエコノミーは、他社との協業を前提として取り組むことが求められます。

4.取り組みや効果を社内外に発信する

サーキュラーエコノミーの取り組みは、まだ始まったばかりです。そのため、企業の取り組みや実際の効果を社内外へ発信することはとても大切といえます。
情報発信を通じて、同業他社を始めとした他業界へと取り組みを波及させるきっかけとなり得ます。また、消費者に対してはサステナブルな社会を目指す企業姿勢をアピールすることも可能です。

サーキュラー・エコノミーを構築する際の注意点は3つ

サーキュラー・エコノミーを構築する際の注意点には、以下の3つが挙げられます。ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

  1. 質について考慮されていない
  2. リサイクルにはコストがかかる
  3. 移行期にはジレンマが発生する

1.質について考慮されていない

サーキュラーエコノミーを評価する場合は「資源生産性」や「循環利用率」など、量や割合などの観点から計測することが一般的です。しかし、質について考慮されていないのが実情といえます。
アパレルを例に挙げると、循環性が高い素材を使用し、耐久性が高く、なおかつリユース・リサイクルできる服は実現しています。しかし、消費者が「使い続けたい」と思えるのかといった、個人の意見や質にまで考慮するには至りません。

2.リサイクルにはコストがかかる

リサイクルのしやすさを表す「リサイカビリティ(recyclability)」も、サーキュラーエコノミーを実現するには欠かせない視点です。
こちらについてもアパレルを例に考えてみると、コットンとポリエステルを混紡した素材を使った衣服は、機能性と耐久性が高いものが豊富にあります。
しかし、このような混紡素材を使った製品の場合、リサイクルのコストが高くなってしまいます。そのため、サーキュラーエコノミーの視点から製品を設計するには、あらゆる側面から最適解を導き出さなければなりません。

3.移行期にはジレンマが発生する

サーキュラーエコノミーは、まだこれから拡大されていく概念といえます。その移行期ともいえる現在は、あらゆるジレンマが発生しています。
自動車を例に挙げると、現在主流となっているガソリン燃料の車は製品寿命が長いものがほとんどです。
しかし、電気自動車へ切り替えると長期的な視点から見ると二酸化炭素の排出量を大きく削減できます。旧来のモデルを改良することと新製品への切り替えへと向かう際、あらゆるジレンマが発生することは業界を問わずに起こり得ることです。

日本企業におけるサーキュラーエコノミーの事例4選

ここでは、サーキュラーエコノミーについてさらに理解を深めるためにも、日本企業における取り組み事例をご紹介します。それぞれの詳しい内容について見ていきましょう。

事例① 鹿島建設株式会社

鹿島建設株式会社では、現場で使用して使われなくなった作業服から新たな素材を作り出しています。回収した作業服は、指定再生⼯場で⾃動⾞の内装材や屋根下防水材として再⽣されています。年間にリサイクルされる量は約6,500着です。
この取り組みが評価され、環境生活文化機構から「平成27年度循環型社会形成推進功労者表彰」を授与されました。これはゼネコンとして初めてのことです。また作業服以外にも、ヘルメットもリサイクルの対象となっています。

事例② 日清食品株式会社

日清食品株式会社の取り組みのひとつとして「バイオマスECOカップ」への転換が推進されています。従来、カップヌードルの容器には発泡PSカップが使われていましたが、2008年には再生資源から作られている「ECOカップ」に切り替え、プラスチック使用量を大きく削減しました。2019年12月から「バイオマスECOカップ」へと切り替えが進められています。
バイオマスプラスチックを取り入れることによって、従来の石化由来プラスチック使用量はほぼ半減し、二酸化炭素排出量についても約16%削減しています。

事例③ 株式会社ファーストリテイリング

ユニクロを展開しているファストファッションの最大手、株式会社ファーストリテイリングは、すべての商品がリサイクル・リユース可能な「RE.UNIQLO」を推進しています。
ほかにも、製品過程で使用する水の使用量を削減する取り組みや有害物質を出さない配慮など多岐にわたります。
具体例を挙げると、ジーンズの加工時には大量の水が必要です。このときに使う水の使用量を最大99%削減し、資源の消費を抑えています。

事例④ 株式会社ブリヂストン

大手タイヤメーカーである株式会社ブリヂストンは、使用済みタイヤの再利用からサーキュラーエコノミーへ取り組んでいます。
実際に使用してすり減った表面部分を貼り替えた「リトレッドタイヤ」は、新品タイヤと比べると1/3の原材料の使用量に留めながら、ゴム以外の部材も再利用しています。そのため、廃棄物を大きく削減することに効果的です。

サーキュラーエコノミーでよくある3つの質問

サーキュラーエコノミーでよくある質問には、以下の3つが挙げられます。それぞれの内容に回答します。

質問① サーキュラーエコノミーに関する世界的な動きは?

サーキュラーエコノミーに関する世界的な動きを国別に見ていきましょう。

【EU】
・2030年までに都市廃棄物の65%、包装梱包の75%のリサイクルを実現する
・埋め立て廃棄量の10%を削減する
・電子・情報通信機器やプラスチックなどの7つの分野で具体的施策を掲げている

【中国】
・2025年までに資源循環型の産業体系を構築する
・鉄鋼・石油化学・設備製造などの分野においてサーキュラーエコノミーを普及させる

【米国】
・廃棄物のリサイクル率35%(2015年)
・リサイクル事業の雇用創出(75万人超)

今後も各国の取り組みを参考にしながら、自社の施策を考案していく必要があります。

質問② サーキュラーエコノミーとSDGsは関係する?

サーキュラーエコノミーは、SDGsを達成するための手段の1つです。SDGsの目標は2030年とされていますが、サーキュラーエコノミーを実現するにはより長い時間を必要とします。
しかし、サーキュラーエコノミーとSDGsでは、経済成長に対する見方や定義には違いが見られます。SDGsが「持続可能な開発目標」とされていますが、サーキュラーエコノミーには明確な定義がありません。旧来の経済成長から脱却すべきとの考え方も存在します。
これらのように、考え方などに多少の差異はありながらも、それぞれは密接に関連しているといえるでしょう。

質問③ サーキュラーエコノミーの経済効果はどれくらい?

サーキュラーエコノミーの経済効果は、環境省が公表している見通しを参考にすると、2030年には80兆円以上の市場規模になると予測されています。
視点を広げると、グローバルに波及する経済効果としては、約540兆円に到達することが見込まれているようです。
この中でも、現在拡大が進められている「シェア」などの遊休資産を活用した経済活動においては、約72兆円を占めるとされています。

参考:脱炭素に向けた資源循環をとりまく状況|環境省

まとめ

サーキュラーエコノミーについて解説しました。旧来のビジネスモデルと大きく異なり、廃棄物が出ない・自然資本の維持・増加を目指す循環型の経済活動です。実現には、あらゆるステークホルダーが密接に関わり合う必要があります。

そのため、1社だけで取り組むのではなく、消費者を巻き込んだ全体プロセスから構築していかなければなりません。そこで、まずは手軽に取り組めることから始めたい企業様については、弊社の「Loop」を活用してみてはいかがでしょうか。クリアファイルの製造工程で出る端材を再利用したアイテムです。
社内でのエコ意識の醸成から商談時にSDGsへ取り組んでいることにも役立ちます。

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