公開日:2018.05.01
3Dプリンターと模型製作
3Dプリンターで話題に出やすいものの一つに、「建築模型が簡単に出来るんでしょ?」という話があります。
3Dプリンターメーカーのサンプルでも良く目にします。
なんとなく建築模型って見たことある気がしますし、みなさんイメージしやすいと思います。でも3Dプリンターを模型製作に使った事がある人はどのくらいいるのでしょうか?3Dプリンターと模型製作の関連性って、実際はどうなのでしょうか?
想像と違う?3Dプリンターでの建築模型製作
さて、建築模型を作成するときはどんなときでしょうか?ビルや商業施設をデザインする時に設計者が自分で確認する為、チームでデザインを検討するため、顧客にプレゼンする為など、シチュエーションが違いますが、これから建てる物をイメージし、検討する手助けの為に、図面やモニターの中ではなく、小さくても実物があった方がイメージしやすいから模型を作っているのでしょう。
この模型作成は、今まではすべて手作業で作っていました。
図面から模型のパーツを作り出し、組み立てていましたので、複雑なものほど手間も時間も必要になります。
手で作っている為、どうしても複雑で難しいところや時間をかけられない場合、省略して簡単な形にしておいて、補足資料で補ったり。
でも、時間も手間もかかる部分こそデザインを確認したい部分でもありました。
ここで3Dプリンターが登場して、誰しもが
「これで簡単に早く綺麗に出来る!」
と大きな期待をしましたが、
しかし、いざ建築模型全部を3Dプリントしようと思うと、「思ったより金額が高い」「薄い壁などを作ることが出来ない」「データ作成に時間がかかる」と言った課題が多く出てきてしまいました。
多くの人が初期につまずいて、そのまま3Dプリンターの事は忘れてしまいましたが、3Dプリンターは建築模型作りにとても有効な方法なのは間違いなく、挑戦しないのはもったいない。
失敗の大きなポイントは、手で作ってもそれほど手間がかからない部分まですべてを3Dプリンターで作ろうとしたことです。
3Dプリンター活用の方法は、手で作っていた全部のことを3Dプリンターに置き換えるのではなく、今までできなくてあきらめていた事に使うこと。
手で簡単に作れるところは今まで通り手で作り、複雑で難しい形状を3Dプリンターで作って初めて効果が発揮されます。
曲面を使ったデザインや、細かい格子のデザインなど、手で作りたくない形状、たくさんありますよね?
今まで本当に確認したかったことが、やっと模型として確認できるようになりました。
BIMやCIMの3Dデータの活用
(ここで言うBIMとは、Building Information Modelingの略で、CIMはConstruction Information Modelingの略として使用しています。)
2013年ごろに3Dプリンターがブームになった時、直面した問題のひとつに建築の3Dデータが無い。または合っても体積が無く実物としては再現が難しいと言う問題でした。
それまでは画面上で確認する事を目的とした3Dデータでしたので、3Dプリントする為には修正が必要になり、それは時間も手間もかかるものでした。
しかし、ここ数年で、BIMやCIMの利用が広まって来ています。それから3Dプリント用のデータ(.stlなど)を書き出すことが出来るようになっているソフトが多く、書き出されたデータはリアルな形を持っていますので、3Dプリント用のデータ変換が容易です。
通常スケールを変更すると、例えば100mmの厚さでも1/100にしたときに厚さが1mmになってしまい、3Dプリンターでは再現が難しいこともあります。この点ではどのようなデータでも修正が必要ですが、今までは壁の厚さが0mmの3Dデータなので、PCのモニターでは確認できるが、実際には作ることが出来ないようなものが多くありましたので、格段に環境が改善されてきました。
まずは3Dプリンターが整備されて、その後少し遅れましたが、建築においても3Dデータも普及し始めた事で、これから建築模型への3Dプリントの利用が高まって行くのではないでしょうか。
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