ホーム お役立ちコラム 分かりやすい学会発表のスライドを作成する4つのコツ。デザインのポイントや注意点も解説!
公開日:2023.12.20
分かりやすい学会発表のスライドを作成する4つのコツ。デザインのポイントや注意点も解説!
分かりやすい学会発表のスライドを作成するには、聞き手にとって分かりやすく、魅力的なスライドを作成する必要があります。
そこで本記事では、分かりやすい学会発表のスライドを作成するコツや、学会発表スライドにおけるデザインのポイントについて解説しています。
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また、学会発表のスライド作成で注意すべきポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
分かりやすい学会発表のスライドを作成する4つのコツ
分かりやすい学会発表のスライドを作成するコツについて解説します。
- 最初に全体の構成を検討する
- 聞き手の知識レベルを考慮する
- 1スライド1メッセージを守る
- デザインにこだわる
それぞれについて詳しくみていきましょう。
①最初に全体の構成を検討する
学会発表のスライドを作成する際は、全体の構成を明確にしてから、各スライドの内容を詳細に検討するのがコツです。
全体の構成を作成せずに、いきなりスライドを作成してしまうと、話の展開が不自然であったり、後から大幅な修正が必要になる可能性があります。これらを踏まえて、学会発表のスライドに盛り込むべき構成は下記順番が望ましいです。
- 研究に至った背景
- 研究の目的
- 実験の手法や調査の方法
- 研究の結果
- 研究結果に対する解釈や意味付け
- 結論と今後の課題
それぞれについて詳しく解説していきます。
ー(1)研究に至った背景
学会発表のスライドには、研究に至った背景を盛り込みます。多くの人の興味関心を引くには、一般的な話題から専門的な話題に移行するのがポイントです。
また、背景の説明には「すでに明らかになっていること」「まだ明らかになっていないこと」「先行研究の課題」を含めるようにしてください。このような段階的な説明によって、研究に興味を持ってもらえます。
ー(2)研究の目的
学会発表のスライドには、研究の目的を記載します。このパートでは、「研究の背景」で示した課題を解決する意義について説明します。研究の目的は、学会発表における核心的な部分であるため、特にわかりやすさや見やすさを意識するようにしましょう。
たとえば、研究分野によっては、自分自身の仮説やモデルに基づく研究の必要性を示す方法もあります。これにより、研究の重要性が強調でき、聴く人の理解度が高まります。
ー(3)実験の手法や調査の方法
学会発表のスライドにおいて、実験の手法や調査の方法の紹介も重要なポイントの1つです。このパートでは、研究の独自性や実際におこなった手順を具体的に示します。
また、統計データを扱う際には、分析に用いた母集団の特性についての言及も忘れないようにしましょう。これらの情報を発表時間が許す範囲で詳しく記載するのがおすすめです。
ー(4)研究の結果
学会発表のスライドでは、研究の結果をわかりやすく伝える工夫が重要です。このパートでは、言葉や数字のみで結果を伝えるのではなく、図表やグラフ、画像などを活用して結果を視覚的に表現するのが効果的です。
また、研究内容によっては、音声やシミュレーション動画などを使用して、結果をより具体的に示すのも有効な手段といえます。このように、データの性質に合った表現方法を駆使して、聞き手に分かりやすく伝える工夫を施しましょう。
ー(5)研究結果に対する解釈や意味付け
学会発表のスライドでは、研究結果の解釈や意味付けについても記載します。このパートでは、結果が研究目的をどの程度満たしているかを検証し、それが研究分野においてどのような意義を持つのかを示してください。
これにより、聞き手は研究の価値をより深く理解できます。また、意外な結果や新しい発見があれば、それらが自身の知見にどのような影響を与えたのかについても触れましょう。 このように、研究結果を深掘りし、研究結果の重要性を強調できるかが、効果的な学会発表における鍵になります。
ー(6)結論と今後の課題
学会発表のスライドには、結論と今後の課題についても盛り込む必要があります。
このパートでは、研究結果をわかりやすく要約し、自身の主張や提案を明確に表現してください。
さらに、今回の研究における限界点や、今後の研究に向けた課題について触れると、研究結果における客観性と説得力が高まります。また、このスライドは質疑応答のベースになる場合も多いため、事前に質問を想定して作成しておくのが望ましいです。
②聞き手の知識レベルを考慮する
学会発表でのスライド作成は、聞き手の知識レベルを考慮するようにしてください。学会発表は、専門用語が多用されるケースが一般的ですが、聞き手のなかには、専門外の人も含まれるため、発表する内容の理解が難しいかもしれません。
専門用語を使用する場合は、用語の説明をより丁寧に実施するのが効果的です。このように、聞き手の知識レベルを考慮したプレゼンテーションは、発表内容の理解を促進し、より効果的なコミュニケーションの実現につながります。
③1スライド1メッセージを守る
学会発表のスライド作成では、「1スライド1メッセージ」の原則が非常に重要です。
スライドごとに1つの主要なメッセージに絞ることで、情報をわかりやすく伝えられます。 この方法は、スライドに含める内容をシンプルかつ明瞭にするためにも効果的な手法です。
また、長い文章は理解しにくい場合が多いため、箇条書きなどでシンプルにまとめるようにしましょう。
④デザインにこだわる
学会発表のスライドを作成する場合は、デザインにもこだわるようにしてください。特に、文字のサイズやフォントの統一は、資料の視認性を高めるうえで重要です。
さらに、スライドの配色にこだわることで、主張したいポイントを強調できます。ただし、色を多く取り入れてしまうと、見にくい資料になってしまう可能性があるため、背景は白を基調とし、使用する色は3色以内になるように心掛けましょう。
学会発表スライドにおけるデザインのポイントは5つ
次に、学会発表スライドにおけるデザインのポイントについて解説します。
- フォントを統一する
- 使う色は原則3色以内に絞る
- グラフや図表を積極的に使う
- 情報階層のコントラストを意識する
- オブジェクトの位置を揃える
それぞれについて詳しくみていきましょう。
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ポイント① フォントを統一する
学会発表のスライドデザインにおいて、フォントの統一は視認性を高めるために重要です。スライドに用いるフォントは、すべて同じフォントで統一するようにしましょう。
また、学会発表に適しているフォントには、メイリオやMSゴシック(Windows用)、ヒラギノ角ゴシック(Mac用)です。
特に、メイリオは、その読みやすさとプレゼンテーションへの適合性から、多くの研究発表スライドで使用されています。
ポイント② 使う色は原則3色以内に絞る
学会発表のスライドデザインでは、使用する色を原則3色以内に絞るようにしましょう。スライドを作成する際に、理解しておくべき色の分類は次のようになります。
- ベースカラー
スライドの本文で使用し、彩度や明度が高い色は避け、黒や紺色がおすすめ
- メインカラー
見出しや装飾に用いて、ベースカラーと調和する色を選ぶ
- アクセントカラー
スライド内の重要なポイントを強調するために使用する
これらの色のバランスは、ベースカラー70%、メインカラー25%、アクセントカラー5%が理想的です。
ポイント③ グラフや図表を積極的に使う
学会発表のスライドでは、グラフや図表、画像の使用が効果的です。
また、文章のみの説明が続く場合は、必要に応じて、表や図形を置くことで、スライドの見やすさを高められます。
さらに、実験や研究の成果を示す写真をスライドに取り入れることで、聞き手はより具体的なイメージを持つことができ、研究内容の理解が深まります。
ポイント④ 情報階層のコントラストを意識する
学会発表のスライドでは、フォントサイズの大小によって情報階層を表すとわかりやすい資料になります。
たとえば、タイトルや見出しは、本文やそのほかの詳細情報よりも大きなフォントサイズで表示します。
この方法により、聞き手側が重要なポイントを容易に識別可能です。このように、学会発表資料で使うフォントサイズは情報階層のコントラストを意識して選ぶことがポイントです。
ポイント⑤ オブジェクトの位置を揃える
学会発表のスライドを作成する際は、文字列や図表などのオブジェクトの位置を揃えましょう。これにより、スライド全体が整然として、見やすい資料になります。
特に、グラフを使ってデータを示す場合、その大きさや位置が統一されていないと、情報の正確な読み取りが困難です。
パワーポイントで作成する場合には、配置機能の「整列」により、オブジェクトの位置を厳密に揃えられます。また、動かしたいオブジェクトをドラッグすると、近隣のオブジェクトと位置を揃えるための線が表示されるため、その線に合わせるのも効果的です。
余白を使って情報要素をそろえていくこともポイントです。
学会発表のスライド作成で注意すべき5つのポイント
次に、学会発表のスライド作成で注意すべきポイントについて解説します。
- 謝辞や研究グループの紹介のスライドは原則不要
- 完成後は第三者に確認してもらう
- 補足的な情報は発表用原稿に盛り込む
- 大会で認められているファイル形式を確認する
- スライド作りに時間をかけすぎない
それぞれについて詳しくみていきましょう。
注意点① 謝辞や研究グループの紹介のスライドは原則不要
学会発表のスライド作成では、謝辞や研究グループの紹介スライドは原則不要です。発表の主旨は学問の内容を伝えることにあり、謝辞や研究グループの紹介は基本的に必要としません。
個人や団体への謝辞は聞き手との直接的な関係が薄いため、それ専用のスライドを用意するのは控えておきましょう。また、自身の所属機関やプロジェクトの紹介も、特別な事情がない限りは必要ありません。
注意点② 完成後は第三者に確認してもらう
学会発表のスライド作成において、作成後の第三者によるチェックが重要です。他者にチェックしてもらうことで、見落としがちなミスや不明瞭な部分を指摘してもらえます。
また、発表のリハーサルも重要なポイントです。スライドが完成した後、読み上げの原稿を用意し、リハーサルの様子を録画しておくと、後から発表の様子が見直しできて便利です。
注意点③ 補足的な情報は発表用原稿に盛り込む
学会発表のスライド作成においては、情報量の取り扱いに注意が必要です。スライドに多くの情報を詰め込み過ぎると、大切なポイントが聞き手に伝わりにくいです。
そのため、詳細な情報はスライドではなく、発表用の原稿に盛り込みましょう。また、スライドに載せられなかった情報は「要点メモ」としてまとめておいてください。
このメモは、発表の流れを整理し、重要なポイントを見失わないための道しるべとなります。
注意点④ 学会で認められているファイル形式を確認する
学会発表のスライドを作成する前に、学術大会で認められているファイル形式を確認しておいてください。
オンライン大会では、自分のPCでの画面共有が主になりますが、対面の学術大会では会場設置のPCでスライドが投影されます。
そのため、会場のPCでスライドを再生できるかが重要です。多くの大会や講演では、使用可能なソフトウェアやそのバージョンが事前に指定されていることが一般的であるため、忘れずに確認しておきましょう。
注意点⑤ スライド作りに時間をかけすぎない
学会発表のスライド作成においては、作成する時間の配分に注意が必要です。スライド作成に時間をかけ過ぎると、そのほかの準備に支障が生じる可能性があります。
学会発表の質はスライドのデザインだけでなく、内容の深さや伝え方にも依存するため、これらの正しいバランスを保つことが重要です。
また、スライド作成にかかる時間と手間を省くために、場合によっては専門家に作成を依頼するのも1つの手段です。特に、高品質なスライドが必要な場合や、スライド作成に自信がない場合は、専門家のサポートを受けることで、より効果的なプレゼンテーションが可能になります。
学会発表のスライドでよくある3つの質問
質問1:30分間のプレゼンに必要なスライドの枚数は?
プレゼンに必要なスライドの枚数は、一般的に発表時間の1.5倍から2倍の枚数が適切とされています。
そのため、30分の発表時間の場合は、45〜60枚が目安です。
ただし、表紙や題目だけのスライドは短時間で進行できるため、発表の練習次第で目安より多めに用意することもできます。特に、発表の時間が長い場合は、時間調整がしやすいため、理想の枚数よりも多くなりやすい傾向にあります
質問2:学会における主な発表方法は?
学会における主な発表方法には、口頭発表とポスター発表の二種類があります。
- 口頭発表
発表者がステージに上がって、スライドやほかの視覚資料を使ってプレゼンテーションを実施する。発表時間は10分程度で設定されるのが一般的で、質疑応答の時間が設定されているケースが多い
- ポスター発表(ポスターセッション形式)
1枚のポスターに研究の概要をまとめ、それを会場に展示する。来場者はポスターを見て回り、発表者はポスターの前で質問を受けて研究について説明する
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これらの方法は、学会の目的や内容、参加者の数によって異なり、場合によっては組み合わされる場合もあります。
質問3:学会発表におけるスライドのテンプレートをダウンロードできるサイトは?
学会発表におけるスライドのテンプレートをダウンロードできるサイトとして、以下のサイトがおすすめです。
- Canva(https://www.canva.com/)
豊富な画像や写真、動画、ストック素材、イラスト、アイコンを使って簡単に学会発表デザインが作成できる
- Microsoft(https://www.microsoft.com/ja-jp/office/pipc)
グラフや表、画像など、あらかじめ基本スタイルが設定されているテンプレートが活用できる。プレゼン初心者でも簡単に資料が作成可能
これらのテンプレートの活用により、わかりやすく魅力的なスライドが作成できます。
まとめ
この記事では、分かりやすい学会発表のスライドを作成するコツや学会発表スライドにおけるデザイン、学会発表のスライド作成で注意すべきポイントについて解説しました。
分かりやすい学会発表のスライドを作成するには、事前に全体の構成を決めておいたり、聞き手の知識レベルを考慮したりすることが大切です。また、スライドデザインにおいては、使用する色を原則3色までに絞ったり、オブジェクトの位置を揃えるようにしましょう。
これらのポイントを押さえておくだけでも、分かりやすく魅力的なスライドが作成できます。
なお、キンコーズではスライド資料のデザインを得意としています。お手元の資料のリデザインや、発表原稿を提供いただきゼロベースからスライド作成を承ることもできます。スライド制作後の、印刷・製本作業までワンストップで対応しています。
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