ホーム お役立ちコラム 印刷におけるセキュリティリスクとは?対策内容と外注時のチェックポイントを解説!
公開日:2023.12.29
印刷におけるセキュリティリスクとは?対策内容と外注時のチェックポイントを解説!
印刷におけるセキュリティリスクを軽減するには、どのようなリスクが情報漏洩につながるのか理解し、有効な対策を講じる必要があります。
そこで本記事では、印刷におけるセキュリティリスクや効果的なセキュリティ対策について解説します。また、印刷を外注する際のチェックポイントについても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
>入稿したデータ情報って漏洩しないの…?不安がある方はまず相談ください
印刷における3つのセキュリティリスク
はじめに、印刷におけるセキュリティリスクについて解説します。
- 情報漏洩
- 印刷機の操作ミス
- データの改ざん
それぞれについて詳しくみていきましょう。
①情報漏洩
参考:2018年 情報セキュリティインシデントに 関する調査結果 ~個人情報漏えい編~ (速報版)
日本ネットワークセキュリティ協会の2018年の報告によると、個人情報の媒体・経路別の漏洩件数のトップは29.8%で紙媒体によるものでした。このデータからも分かるように、重要な文書をデスクに放置すると、ほかの従業員や外部に情報が漏れるおそれがあります。
また、複合機の内部データが外部から不正アクセスによって盗まれる場合もあります。これらのリスクを軽減するためには、社内教育やセキュリティポリシーの徹底が欠かせません。
企業にとって、情報管理の徹底は不可欠であり、それが大切なデータの保護に直結します。
②印刷機の操作ミス
操作ミスによって不必要な文書が印刷されるケースがあり、これが重要な情報の漏洩につながっています。
また、複合機に印刷した文章を放置しておくと、不正に持ち出され、本来手に渡るべきでない従業員による情報の不正取得につながるおそれがあります。
さらに、印刷設定の誤りにより、機密性の高いデータが誤って印刷されてしまう場合もゼロではありません。
これらのリスクを避けるには、印刷機の使用方法に関する徹底したトレーニングと印刷後の文書管理の厳格なルール設定が必要です。
③データの改ざん
悪意を持った人が社内ネットワークに不正アクセスすると複合機内のデータが盗み見られ、改ざんされるおそれがあります。このような改ざんは、データを不適切に書き換えられたり、破壊されたりするケースがあるため、企業にとって深刻な問題です。
さらに、ネットワーク上で流れる印刷データに対して不正アクセスし、内容を書き換える行為もあります。この結果、印刷される文書の中身が本来のものと異なり、誤った情報が伝達されるリスクが生じます。
これらのリスクを防ぐためには、ネットワークセキュリティの強化や、印刷データのチェック体制の構築が重要です。
印刷における効果的なセキュリティ対策7選
次に、印刷において効果的なセキュリティ対策について解説します。
- ユーザー認証機能
- ネットワークの暗号化
- 定期的なデータ消去
- アクセス権限の設定
- IPフィルタリング
- 機密印刷機能
- アクセスログの監視
それぞれについて詳しくみていきましょう。
対策1:ユーザー認証機能
ユーザー認証機能は複合機を使用する際に本人確認するもので、ユーザーIDとパスワード、またはICカードを使用して認証を実施します。このような認証システムにより、印刷された文書の利用者を特定しやすくなり、セキュリティリスクの軽減が可能です。
また、印刷ログの記録により、後から誰がどの文書を印刷したか容易に確認できます。これにより、第三者による不正なデータ送信やなりすまし行為を防ぐ効果が期待されます。
特にパスワード認証は追加料金なしで導入でき、PC画面からの設定だけで利用可能です。
対策2:ネットワークの暗号化
ネットワーク通信の暗号化により、第三者が通信内容を盗み見るリスクを軽減できます。
たとえ不正アクセスが発生しても、暗号化されたデータは解読が困難であるため、情報漏洩の可能性を大幅に減らせます。
特に、無線LANの設定に暗号化機能を追加したり、ネットワーク通信を暗号化する機能を備えた複合機の利用したりといった対策が有効です。「SSL/TLS」と呼ばれる暗号化通信技術は、広く使用されており、高いセキュリティレベルを提供しています。
対策3:定期的なデータ消去
複合機には、日々の業務で多量のデータが蓄積されます。この蓄積されたデータを管理しておかないと、誤って重要情報を転送するなどのヒューマンエラーが発生するリスクがあります。
また、外部からの不正アクセスによる情報漏洩を防ぐためにも、定期的なデータ消去は効果的です。複合機にはメモリーとハードディスクの2つの記憶装置があり、それぞれが一時的および長期的なデータ保存の役割を果たしています。
新しいデータが追加される際に古いデータを上書きする方法など、効率的なデータ管理が重要です。データの定期消去は、複合機の操作パネルから簡単に実施でき、内部のセキュリティ強化に大きく寄与します。
対策4:アクセス権限の設定
アクセス権限の設定は、不正アクセスや不正操作、データの改ざんなどを防止できます。具体的には、利用者ごとに複合機の機能としてコピー、印刷、スキャンなどを利用できる範囲を個別に設定しましょう。
この方法により、必要な操作のみ許可し、不要な操作によるリスクを最小限に抑えます。また、機密情報の扱いに関するセキュリティポリシーを強化し、従業員に対するセキュリティ意識の向上にも寄与します。
対策5:IPフィルタリング
IPフィルタリングの設定により、第三者による攻撃や不正アクセス、盗聴やデータの改ざんを効果的に抑制します。
IPフィルタリングは、特定のIPアドレスからのみアクセスを許可し、未登録のIPアドレスからの接続を自動的に拒否することで、不正アクセスのリスクを大幅に減少させます。
これにより、組織内の信頼できるユーザーのみが複合機にアクセスでき、組織外部からの不正なアクセスを防ぐことが可能です。
対策6:機密印刷機能
機密印刷機能を使用すると、機密情報を含む文書を印刷する際に、事前に設定されたパスワードの入力が必要です。この設定により、パスワードを知っている人以外は、重要な文書の印刷ができません。
このシステムは、無許可での機密情報の印刷を防止し、情報漏洩のリスクを軽減します。特に、共用のプリンターや複合機を使用する環境では、機密印刷機能の導入により、セキュリティの向上が期待できます。
対策7:アクセスログの監視
アクセスログの監視を活用すれば、複合機の使用状況を詳細に記録し、どのユーザーがどのような操作を実行したのか確認できます。
これにより、不正アクセスや異常を迅速に検出し、対応することが可能です。 また、万が一情報漏洩が発生した場合には、アクセスログを通じてその原因を追跡し、再発防止のための具体的な対策を立てられます。
アクセスログの監視は、内部からのセキュリティ違反だけでなく、外部からの不正アクセスにも有効な対策となり、組織全体の情報セキュリティレベルを向上させます。
印刷の外注時にチェックすべき3つのポイント
次に、印刷を外注に依頼する際にチェックしておくべきポイントを紹介します。
- ISMSが構築されている
- ISO27001を認証取得している
- 社内セキュリティレベルの高さ
それぞれについて詳しくみていきましょう。
①ISMSが構築されている
ISMSとは、情報セキュリティのリスクを効果的に管理するための仕組みであり、自社の情報資産を適切に保護するために重要です。
情報セキュリティの3つの基本的な要素である「機密性」「完全性」「可用性」を維持し、利害関係者への信頼を築くことがISMSの主な目的です。
外注先がこれらの要素を正しく理解し、対策を講じているかの確認は、外注先選定の際に極めて重要な要素になります。ISMSが整備されている印刷業者は、情報の漏洩や改ざんを防ぎ、安全に印刷業務を遂行するための基盤が整っているといえます。
②ISO27001を認証取得している
ISO27001とは、組織が情報資産を安全に管理するための国際的な基準であり、情報セキュリティ管理システム(ISMS)が構築されていることを認証するものです。
この基準を満たしている印刷業者は、情報漏洩やサイバー攻撃から情報を守るための体制があることを意味します。
現在、情報セキュリティが非常に重要視されているため、ISO27001認証を取得している業者を選ぶことは、社内情報の安全確保とともに、企業の信頼性向上に寄与します。ISO27001は、JIS Q 27001として日本産業規格にも採用されており、国内外で広く認識されている基準です。
安全な印刷サービスを提供する業者を選ぶ際には、ISO27001の認証有無の確認が推奨されます。
>(参考)ISO/IEC 27001(情報セキュリティ) | ISO認証 | 日本品質保証機構(JQA)
社内セキュリティレベルの高さ
外注先を選ぶ際にチェックすべき重要なポイントは、社内のセキュリティレベルです。以下は、高いセキュリティレベルを保つための対策例です。
- スキャン専用機器の完備
スキャン専用機器を使用し、リスク管理と安全性を確保する。スキャンセンター以外からのアクセスの制限とデータ閲覧制限の徹底が重要となる
- 徹底したパスワード管理体制
関係者のみが共有するパスワードシステムを採用し、四半期ごと、または人事異動があった際のパスワード変更を徹底する
- 入退室管理ログと入退室許可証
部外者の入室を原則的に禁止し、必要な場合には入退室管理ログの記入と入退室許可証の発行を実施する
- 専用荷札を利用した管理
顧客毎に専用の荷札を作成し、原稿の管理を徹底する
これらのセキュリティ対策が講じられている外注先は、セキュリティレベルが高いと判断できます。外注先への依頼を検討する場合は、これらのポイントを考慮してみてください。
なお、キンコーズでは「ISO/IEC 27001」を取得しており、スキャンセンターを設置して、入退室ログの記載や品質チェックシートの徹底など、データ類が外部へ流出しないよう徹底した管理体制のもとサービスを提供しています。
印刷におけるセキュリティでよくある3つの質問
最後に、印刷におけるセキュリティでよくある質問について解説します。
- 質問1.セキュアプリントとは?
- 質問2.ISMS 認証と P マーク(プライバシーマーク制度)の違いは?
- 質問3.情報漏洩の主な要因は?
それぞれについて詳しくみていきましょう。
質問1.セキュアプリントとは?
セキュアプリントとは、印刷機のセキュリティ機能を利用して、印刷物の安全を確保する仕組みです。
現代のオフィス環境では、多くの情報がデジタルデータとして管理されており、これらの情報は文書ファイルとして印刷されることが一般的です。
しかし、印刷された書類の管理は常に適切であるとは限らず、不正な持ち出しや情報の外部流出などのリスクが存在します。セキュアプリントを導入すれば、これらのリスクを効果的に回避できます。
このシステムでは、印刷物にアクセスする際にユーザー認証が必要となり、不正なアクセスや改ざんを防ぐことが可能です。
参考:SecurePrint! Suite – 製品情報 – ビジネスソリューション | コニカミノルタ
質問2.ISMS 認証と Pマーク(プライバシーマーク制度)の違いは?
ISMS認証と似ているものに、Pマーク(プライバシーマーク制度)があります。この2つには以下の違いがあります。
ISMS認証 | プライバシーマーク | |
規格 | 国際標準規格 | 日本産業規格 |
保護対象 | 組織内のすべての情報資産 | 法人内のすべての個人情報 |
認証範囲 | 事業所や部門単位で認証取得が可能 | 法人全体で取得する |
審査内容 | 情報資産の機密性、完全性、可用性の維持が適切か | 個人情報の取り扱いが適切か |
有効期限 | 3年間(毎年の継続審査あり) | 2年間 |
取引先の特徴 | BtoB取引や大手企業との取引が多い | BtoC取引でユーザーの個人情報の取り扱いが多い |
参考:プライバシーマーク制度
質問3.情報漏洩の主な要因は?
情報漏洩の原因として、ウイルス感染や不正アクセス、内部犯行のような話題性の高い事件・事故が取り上げられるケースが多いですが、実際には情報漏洩の約半数が「紙媒体」に関連しています。
これらは主に内部のプリンタで印刷された文書に由来し、紛失や盗難が主な原因です。そのため、セキュリティ対策としては、従業員の教育が優先すべき対策の1つといえます。
まとめ
この記事では、印刷におけるセキュリティリスクや効果的な対策、印刷を外注する際のチェックポイントについて解説しました。
印刷におけるセキュリティリスクを軽減するためには、どのようなリスクが情報漏洩につながるのか理解しておくことが大切です。さらに、ユーザー認証機能やネットワークの暗号化など、効果的な対策を取り入れましょう。
また、セキュリティリスクは外注先でも起こり得ます。そのため、外注先を選定する場合は、ISO27001の認証取得や社内のセキュリティレベルなどの状況を判断に加えるのが望ましいです。
キンコーズでは、ISO/IEC 27001を取得しており、スキャンセンターを設置して、入退室ログの記載や品質チェックシートの徹底など、データ類が外部へ流出しないよう徹底した管理体制のもとサービスを提供しています。
お気軽にお問い合わせ・
ご相談ください!