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更新日:2025.03.11
バリアブル印刷とは?活用事例や注目されている背景、パーソナライズDMについても詳しく紹介

バリアブル印刷という言葉をご存じでしょうか?印刷というと、一般的には版を作って全く同じものを何百枚、何千枚と刷るというイメージがあるかもしれません。
年賀状で例えてみると、裏面の内容は同じであっても、宛名印刷をする場合は、郵便番号、住所、氏名の位置は同じでも内容は1枚1枚異なる内容にしなくてはいけません。これがバリアブル印刷です。今回は、このバリアブル印刷についての解説と、便利な使い方についてご紹介します。
>バリアブル印刷をマーケティング施策として活かしたい方はこちら
バリアブル印刷とは

バリアブル印刷とはデータに基づいて内容を変えられる印刷手法を指します。英語で書くと「Variable Data Printing」となり、Variableは「変えられる」「可変の」という意味で可変印刷とも呼ばれます。
Microsoft OfficeのWordに予め表示範囲を決めて、そこにExcelのデータを読み込ませる差し込み印刷という機能がありますが、差し込み印刷は身近なバリアブル印刷の一例です。
バリアブル印刷の仕組み
バリアブル印刷は、それぞれ印刷物に異なる情報を盛り込める技術です。この印刷方式では、固定デザインの上に個別のデータを追加すると、1枚ごとに異なる内容の印刷物を作成できます。
データにもとづいて、デジタル印刷機で印刷を行います。これにより、小ロットの案件やパーソナライズが求められる印刷物に最適で、短納期かつ高精度な仕上がりが特徴です。
バリアブル印刷の活用事例
バリアブル印刷の活用事例は何も宛名だけではありません。具体的な例を挙げながら、メリットをご紹介します。
DM
宣伝目的で送る印刷物であるダイレクトメール(DM)は典型的なバリアブル印刷です。
もともとはメッセージの部分は同一で大量印刷を先に行い、宛名のみバリアブル印刷を用いるという方法がスタンダードでした。
今では個々の顧客に合わせて内容を変更するといったことも可能になり、より顧客志向のマーケティング施策が可能になりました。
年賀状
名刺
名刺印刷もバリアブル印刷のメジャーな例です。会社の規模や部署によりますが、事務系の社員の名刺などは営業系に比べると枚数は少数となり、印刷を依頼すると割高になってしまいがち。
通常のオフセットやオンデマンド印刷で各社員のデータをそれぞれ入稿するより、社員のデータ一覧を渡してバリアブル印刷をするほうが安価で、かつ臨機応変に対応が可能なケースがあります。社員1人1人の所属データに加え、顔社員などをデータとして入れることも可能です。

くじ
当たり、はずれの単純なパターンだけでなく、当たりの場合でもそれぞれ異なるシリアルコードを付けたりといったことも可能です。
イベントのチケットにナンバリング印刷でくじの抽選番号を付与すると、来場者はチケットを大切に扱うためくじの紛失リスクも大幅に減り、抽選イベントも盛り上がるという相乗効果を期待することもできます。
管理用にバーコードなども組み合わせると、来場者の情報管理もスムーズになります。

QRコード
DMや応募シールなどでよく目にする、シリアル付きの応募券にも用いられています。
従来、印刷物からWebにアクセスするには記載されているURLを手打ちするといった手間がありましたが、個別のQRコードを組み合わせることでWebアクセスを容易にすることが可能になりました。
予め送付する先がわかっているものであれば、バリアブル印刷で地域ごとにリンク先の異なるQRコードを印刷し、アクセス数を分析するといったマーケティングにも活用できます。

バリアブル印刷のメリット
メリット1:宛名印刷が簡単にできる
Wordの差し込み印刷を使用すれば、宛名印刷は自宅やオフィスでも可能です。ただ、実際に差し込み印刷の経験がある方は、かなり手間がかかったのではないでしょうか。住所や名前は一定の長さではないので、Wordの差し込み印刷だと印刷範囲に収まらないということが頻発するのです。
特に企業宛では、社名の長さにばらつきが多く、結局目視でのチェックが必須となってしまいます。難しい場合は印刷所にお願いすることも視野に入れましょう。途中で消耗品がなくなったり紙詰まりを起こしてストップしてしまったり、ということも気にしなくていいので大幅な時間の節約になります。
メリット2:顧客ニーズに合わせた情報を記載できる
参考画像:ワインショップのパーソナライズDM例(キンコーズ)
バリアブル印刷では違うデータを1枚ずつ変更して印刷することができるため、顧客1人1人のニーズに応じて訴求内容を変更することが最大の強みです。地域や性別、興味関心の傾向などに合わせて内容を変更したり、また情報収集をしたい場合にもQRコードやバーコードで顧客情報を収集ができ大変便利な印刷機能です。
従来型のダイレクトメールは同じ内容を多数の顧客に送るものでしたが、バリアブル印刷を使うことで顧客のニーズを意識することでより費用を抑えて効率的な宣伝、伝達ができるようになりました。
メリット3:キャンペーンのバリエーションが広がる
従来の印刷では、DMはDM、チラシはチラシ、くじはくじとしてそれぞれ1つの役割しか果たせないのが普通でした。
しかし、バリアブル印刷の登場によって、DMに顧客の利用状況によって割引金額の異なるクーポンコードを付けたり、ちらしにくじを付けるといったことが可能になりました。
それぞれの印刷物の付加価値が高まり、見向きもせず捨てられていたものが顧客の目に留まりやすく、キャンペーンやイベントの効率化・活性化に繋がるようになりました。
バリアブル印刷のデメリット
バリアブル印刷のデメリットとしては、可変部の文字数が大幅に異なる場合、範囲内に収めるためにレイアウトが崩れる可能性があるということが上げられます。
またデータのフォントはPCによって置き換わる可能性があるものなので、凝ったフォントを使用した場合などは、希望するものと完全に同じフォントで印刷できないがありますので注意が必要です。バリアブルに対応する箇所が増えるほどレイアウト崩れの可能性は高くなり、修正を頼んだ場合は費用が掛かる場合があります。
バリアブル印刷が注目されている背景
近年、印刷業界では個別対応が求められるケースが増えているため、従来の大量生産型の印刷物では、ターゲットに響く情報を届けるのが難しいのが現状です。このため、バリアブル印刷が注目を集めています。
この印刷方法は、1枚ごとに異なるデータを反映できる技術で、マーケティングやダイレクトメールなどで使用されているケースが多いです。デジタル印刷機の進化により、高精細な印刷が短時間で可能なため、個々のニーズに応じた柔軟な印刷が活用されています。
バリアブル印刷によるパーソナライズDMの特徴
次は、バリアブル印刷によるパーソナライズDMの特徴について解説します。
- 顧客の反応やコンバージョン率が上がる
- 顧客満足度(CS)や顧客エンゲージメントが向上する
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
顧客の反応やコンバージョン率が上がる
ダイレクトメール(DM)の効果を最大化するためには、受け取る人のニーズに合った内容である点が大切です。
従来のDMは、不特定多数に同じ情報を一斉に送る手法が一般的でしたが、受け手の関心を引くのが難しく、開封率や反応率が低くなる傾向にありました。
しかし、パーソナライズされたDMは、それぞれ顧客の興味やニーズに合わせて内容を変えられるため、特別感を演出しやすくなります。これにより、DMの開封率や反応率が向上して、販促効果を高められます。
>(あわせて読みたい)DMマーケティングで効果測定するために重要な3つの数値。目標指標や効果を上げる方法も解説
顧客満足度(CS)や顧客エンゲージメントが向上する
顧客に寄り添ったパーソナライズDMは、受け取る人に特別感を与え、企業との関係を深めるのに効果的です。たとえば、顧客の名前を明記し、過去の購買履歴や行動データを反映した内容にすれば、特別感の演出が可能です。
これにより、顧客は自分が大切に扱われていると感じるため、ブランドへの信頼やロイヤルティが向上します。結果として、リピート購入や口コミの促進につながり、企業の成長を後押しします。
パーソナライズDMが効果を発揮しやすい企業
次は、パーソナライズDMが効果を発揮しやすい企業について解説します。
- 多品種小ロットの商品を販売している企業
- 単価が高額な商品やサービスを提供している企業
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
多品種小ロットの商品を販売している企業
多品種小ロットの商品を提供する企業は、顧客の好みに合わせた情報を届けやすく、DMの訴求力を高められます。アパレルやコスメなどの分野では、過去の購入履歴や関心をもとに商品を提案できれば、より高い反応率が期待できます。
このため、パーソナライズDMを効果的に活用するためには、企業の取り扱う商品の特性を考慮しなければなりません。一方、単一商品を扱う企業ではDMの送付タイミングを工夫して、リピート率を向上させる方法が効果的です。
単価が高額な商品やサービスを提供している企業
パーソナライズDMを導入する際には、コストと効果のバランスを考慮しなければなりません。単価の低い商品では、DMの制作・印刷コストを回収しにくいため、比較的高額な商品やサービスを扱う企業におすすめです。
たとえば、不動産や旅行、教育、健康食品などの業界では、顧客ごとに異なる提案が可能であり、パーソナライズDMのメリットを最大限に活かせます。導入を検討する際は、平均購入単価やリピート率を考慮して、費用対効果を試算するのが成功のポイントです。
バリアブル印刷の入稿に必要なデータ
バリアブル印刷に必要なデータは、デザインのベースとなるデータファイルと、可変部分をまとめたデータベースのファイルの2つが必要です。データベースは通常はExcelかcsvで作成します。入稿する印刷所が決まっている場合は、予め印刷所にデータの作り方を聞いておくか、配布されているテンプレートに従って作成するのがおすすめです。
①基本となるデザイン
すべての印刷において変更がない、ベースのデザインとなる部分です。画像編集ソフトで作ってもいいですし、WordなどのOfficeソフトでも作成できます。印刷会社によるので予めサイトで確認しておくか、問い合わせをしておくと安心です。
②可変データ
Excelで作成する場合、1行ごとに1人のデータとして作成します。姓と名はセルを分けておくのが無難です。スペースを使用する場合は、半角スペースと全角スペースが混在しているとバランスが崩れることがあるためなるべく統一しましょう。すでにデータがあり、混在している場合は置換などで一気に変更できます。
人名は特に要注意で、旧字・異体字などが多く使われているかと思います。印刷で使用できない場合がありますので、入稿予定の印刷所にあらかじめ対応範囲を確認しておくことをおすすめします。
③可変ファイルデータ(画像を貼り込む場合のみ)
画像のファイルはすべて同じサイズでなくてはなりません。ページごとのトリミングやリサイズは基本的にできないので最初にサイズを合わせてデータを作成しましょう。
おわりに
バリアブル印刷についてご紹介しましたが、いかがでしたか?可変データの組み合わせが無限大なので、印刷物の幅と可能性が大いに広がりますよね。
企業向けでも個人向けでも、よりパーソナライズされたマーケティングが求められる時代に活躍すること間違いなしのバリアブル印刷。宛名印刷だけではもったいないので、ぜひいろいろなものを組み合わせて活用してみてください。
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